今月1日、厚生労働省の諮問機関である中央最低値賃金審議会が2022年度の最低賃金(時給)の目安を全国平均961円にすることを決定した。前年度比31円の上げ幅は過去最大とのことだ。
物価上昇が家計を圧迫する昨今、賃金上昇の話題はとりわけ時給で働く労働者にとって一見朗報のように聞こえる。一方で人件費負担の増加というリスクを避けたい経営側が雇用の抑制に走るおそれもあることに留意する必要がある。また、我々の業界でも最低賃金の上昇に伴い適用除外ライン(=事実上の営収ノルマ)が上がるため、不安定な海外情勢を背景とする景気後退リスクが懸念される局面を踏まえると素直に喜べないのが正直なところである。
安倍元首相の銃撃事件を機に政治と宗教の癒着が注目され、公正中立を阻害する団体との関係の断絶が期待されている。それはそれで大事なことだが、多くの有権者に共通する願いはやはり国民全体が恩恵を実感できるような景気刺激策ではないだろうか。我々にとってのそれは既存の公共交通がしっかりと機能し、仕事を通じて安心して生活できる社会の実現である。これらを差し置いてライドシェア導入の是非を議論することはまさに言語道断であり、一介の乗務員として断固反対の声を上げ続けていかねばと思っている。
(R.U)