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コラム

冷静になれば恐るるに足らず

 とある講演での菅義偉前首相の発言を機にライドシェア導入に関する議論が再燃している。この発言は深刻な人手不足により観光地などを中心に需給のひっ迫が続いていることを受けたものであるが、これに同調する著名人の見解がまるで的を射ていないことにはただただうんざりしている。

 彼らの見解は概ね海外でのライドシェアサービスの体験に基づくものだ。しかし、料金構造も異なれば、車両維持費も高く、労働に見合う賃金が得られない現在の我が国では、たとえライドシェアが解禁されたとしても彼らの思惑通りに都合よく担い手が集まるとは考えにくい。「ライドシェアは移動の選択肢を増やすものであり、既存のタクシーとの共存は可能」とする見方もおそらく希望的観測に終わるだろう。

 このように冷静に考えてみれば、ライドシェア解禁を求める勢力など恐るるに足らずなのかもしれない。彼らの誤解を解き、正しい理解を世に広めること、それは間違いなく我々の仕事を守り、かつ利用者に安全安心の移動サービスを提供することに繋がるはずだ。

(R.U)