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コラム八潮の風 「規制緩和の是非を考える」

 桜の開花だよりが各地から届く中、年度末を迎えタクシー業界は繁忙期を迎えた。そんな中4月から一部地域でライドシェアを導入、また6月には法改正が予想され、我々の業界は今後の激震に怯えている。ライドシェアに関しては様々な議論が交わされている中、今回は旅客輸送の一端を担う観光・長距離バス業界の規制緩和によって起きたマイナスな事例を取り上げたいと思う。

 バス業界は何回かに分けて規制緩和を実施した結果、新規参入が増えて価格やサービスの過当競争が行われた。無理な競争は運転手の質の低下や労働環境の悪化を招く事となり、重大事故が多発した。長野県軽井沢町で若い多くの命が奪われた事故は記憶に新しい。
 
過度な競争は、旅客輸送事業にとって一番重要な安心安全が脅かされ、関連企業の経営体力も奪い、賃金低下による乗務員離れも起きた。結果、路線バスにも影響して未だに乗務員不足は改善出来ていなく、このバス業界の事例は規制緩和がメリット以上にデメリットを生む愚策の典型となった。

 多くの既得権益を持っている業界には規制緩和が必要で、競争による価格低下やサービス向上が期待でき大きなメリットを生むが、私たちのタクシー業界は果たしてどうだろうか。

 東京のタクシー平均年収445万円に比べ、東京都の平均年収は423万円に対してやや高い程度である。又、日交労乗務員の平均年収はもっと高いが、価格改定や会社と皆の努力もあって、やっとこの1年で正規雇用の東京の平均賃金を上回った。但し、労働時間と業務中のリスクを考えたら高い賃金とは言えない。ライドシェア推進派やメディアから「タクシー業界は既得権益を守りたいのでは?」との声が挙がるが、これのどこが既得権益だというのだろうか。冗談にも程がある。

 東京でも時間帯や天候等によってタクシーが不足している地域が生じるのは事実であり、業界全体で対策を考える必要はある。しかし価格改定後も料金が高いという声は聞こえないし、現状は安全、安心、サービス低下などの声も小さく、我々は世界に誇るタクシーを維持出来ている。
このような背景を踏まえ客観視しても、日交労としては「ライドシェア合法化反対」を一丸となって訴えていきます。八潮支部は今後も、組合員やその家族の生活に少しでもお役に立てるように活動して参りますので、引き続き宜しくお願いします。                                    

(R.U)

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