タクシー業界は他社も含め入社時の待遇は異例ともいえるぐらいケアが厚い。入社祝い金、紹介料、2種免許取得費用全額負担、給与補償、教育制度等があり、又、年齢学歴不問で未経験者歓迎、健康診断が唯一高いハードルになっている。他業種も含めて客観視すると、そこまでしないと人が集まらない誰もやりたくない大変な仕事なのかと思う事だろう。人を集めるのに苦労して他社と差別化する為に、目先だけを考え、行き過ぎた悪しき慣習が出来たのだろうと推察する。
一方で入社までの待遇は厚いが、入社後はどうだろうか。交通費支給無し、退職金無し、隔日勤務で不規則且つ長時間座りっぱなしで健康面の不安、交通事故や違反の危険と常に隣り合わせ、酔客対応、カスタマーハラスメント等ネガティブな内容満載である。
但し、数年経つとと不思議と対応できる心と身体が出来上がり、稼ぐスキルも身につき、タクシー乗務員として続けていくことが出来る。しかしせっかく定着したタクシー乗務員は10年経つと諸条件をクリアすると個人タクシーを開業出来て、又そこで人材流出に繋がる。個人タクシーを目指す理由は法人タクシーに長く勤務しても何のメリットも無いからだ。
そこで人を一人雇うことにいくらか掛かっているかを良く考え、個人タクシーになるのに迷うような長く働いている乗務員が金銭や待遇的に得をするような考え方はどうだろうか。入社祝い金や紹介料を無くすまたは減らす、11年働くと報奨金が貰える、一定条件をクリアしていると歩率を少しだけ上げる等、せっかく10年この仕事を続けている、いわばエキスパートを無策で辞めさせていると思えてなりません。またある程度勤めている乗務員が何を欲しているかアンケートを取るとか、今働けている従業員の満足度を上げることに努力すべきだと思います。決して買い物をする時に10%割引が効くとかではないと思います。
幸いにも都内ではアプリの普及に伴いユーザーの注文に対応しきれていない状態です。これから労働人口は確実に減ります。乗務員が辞めたら新しい人を採用すれば良い的な考え方から、いかに今いる優良乗務員に長く居てもらうかを考える事が、人材確保に繋がると考えて、業界に先駆けてそのあたりでもリーディングカンパニーを発揮してもらいたい。 (S.W)
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