肌寒くなって、年の瀬が近づいてきました。稼ぎ時でせわしない時期ではありますが、年末に近くなるとタクシー業界では「寸借詐欺と路上横臥」に気をつけろと言われます。路上横臥はともかく、寸借詐欺なんて今時やる人はいるのか?と疑問でした。
そう、実際に出会うまでは…これは筆者が寸借詐欺?未遂にあった体験談となります。
それは、数年前の年の瀬に、私は新橋にいました。西新橋交差点から日比谷通りに左折しようとハンドルを切りかけた際に、左後方から「ドンドンドンッ」とノック音が響きました。「なにごと?」と目視した所、自転車がいました。「うわー、事故か?事故か?」と少し焦りながら、振り向くと「おいっ!ぶつかったぞ!」と怒号を浴びせられました。慌てながらも、安全に配慮し、左折後に停車しました。
車を降りて、早々に相手から「あー、お前やったなっ!交差点の事故だからお前終わりだなっ!」と言われました。この時点で私は「んー、なんか怪しくね?」って心の中では思いつつ、相手に謝罪をしながら、怪我の確認と車のキズの確認を行いました。幸いに相手に怪我は無く、車の方を確認すると、左スライドドアに「約60cm白いゴム跡が綺麗にまっすぐ」跡が残っていました。「んー?事故でこの跡ってありえるのかなぁ?」と再び心の中では思いながらも、相手に再び謝罪をしつつも、事故処理の為に警察を呼びたい旨を告げました。
そうすると「いや警察はいいからさ…」と歯切れが悪くなり、「所で、タバコ持ってない?」と態度が急に軟化してきました。その後も「いや、運転手さんも警察呼ぶと時間もかかるし」「年末で忙しいから急いでない?」など明らかに「なにとは」言わないが何かを促すような言動と間を重ねていました。しかし、私としても「怪我の有無に関わらず」「車に擦跡があり」警察と営業所に連絡をするのは確定事項だったので、何度かその旨を告げました。
数十分が過ぎた後に「まぁ、怪我もないし」「お兄さん謝罪してくれたし良いよ…」とその場を去りました。
「なんだったんだ?良い人なだけか?」と思いつつ、その後に会社に電話し、警察に事故処理をお願いしました。対応中の警官から「なんか近くの交差点でも似たよう事が複数件起きてですね…」と言われ、「あ、さっきの人がもしかしたら…」そこで疑いが深くなりました。
その後は何事もなく無事に終え、今回の事の顛末となります。
冒頭に寸借詐欺?と記載しましたが、「当たり屋」のような事が経験した事となります。このように「警察呼ぶと時間もかかるし」「年末で忙しいじゃない?」と揺さぶりをかけてきます。年末の稼ぎ時で、気持ちを揺さぶられるかもしれませんが、絶対に乗ってはいけません。仮に「相手にお金払ったから警察と会社に連絡しなくていいな」とこれも絶対にまずい事態になります。
悪意ある相手方が通報した場合は、会社では「報告義務違反」、警察でも「報告義務違反」「救護義務違反」の疑いと状況が悪化する可能性が高まります。また、車内事故的な寸借詐欺でも必ず、会社に報告をするように気をつけましょう。
また、ちゃんと会社に報告したのにも関わらず、会社の対応や何か納得がいかない時は是非組合までお越しください。(R.U)
